第4回
学科の特性が生きる仕事編
第4回では、深谷さんの実際の仕事内容を例に、家政経済学科の特色が生きる仕事とはどのようなものかに迫ります。
─深谷さんが責任者として関わっていらっしゃるMonnyConnection®とはどのような活動か、教えてください。高校生たちにどのようなことを教えていらっしゃるのでしょうか。
深谷さん:若者が不本意に社会から孤立したり、無業状態になったりすることを予防するために何かできれば、という思いから、2006年に新生銀行グループさんと協働してスタートした活動です。具体的には主に進路が多様な高校に通う生徒さんを対象に、一人暮らしにかかる生活費について考えたり、お金の稼ぎ方や少し先の将来の暮らし方についてシミュレーションしたり、というワークショップを提供しています。このプログラムを通して、生きていくためにはお金が必要なこと、お金や仕事などに関する情報を持つことにより自分の進路を慎重に考えることができるようになること、それでも迷うことがあれば誰かに相談してみる、という方法もあること、などを伝えています。また孤立してしまう若者の多くは相談できる「誰か」や「どこか」を知らない人も多いことから、こうした出張授業の機会を通して、私たちのような支援者や支援機関の存在も知らせるようにしています。
―深谷さん自身は、今後どのように活動を発展させていきたいですか。
深谷さん:進路が多様な学校に通う生徒さんを主な対象としてスタートした活動ですが、「すべての若者が働く、働き続ける」ことを実現するために、1人でも多くの生徒さんにこのプログラムのようなセーフティネット教育を受ける機会が提供できればと思っています。
そのときにキーパーソンのひとりとなるのが家庭科の先生だと考えています。家庭科って衣食住から子どもを産む、育てる、家庭生活をいかに営むかという内容も入っていて、生活学みたいなところがありますよね。
―育て上げネットがやっていらっしゃるような領域まで教えられる家庭科教員を増やしていかないといけないということでしょうか。
深谷さん:家庭科教員の数を増やす必要性についてまではなんともいえませんが、このような仕事をしていて家庭科という教科の必要性や価値を改めて強く感じています。
家庭科の先生は受験教科に縛られないので、ご自身がいろいろ社会経験を積まれて実力をつけると比較的自由にカリキュラムマネジメントができるそうです。ただなかなか先生方だけでセーフティネット教育領域までたどり着くのは難しい、ともお聞きしました。
そこで家庭科の先生方とよいかたちで連携して授業を応援させていただきながら、このプログラムを広げていけたらいいなと思っています。
深谷さんのMonnyConnection®での活動、そして今後の展望の根底には、家政経済学科で学べる「生活の視点」が大きく関わっていると感じさせられました。MonnyConnection®に関心を持った方は、ぜひ、下記2つのサイトもご覧ください。活動内容が詳しく紹介されています!
1カ月の生活費を知ったのはいつのことだろう──金銭基礎教育プログラム「MoneyConnection」が目指す、誰もが輝く未来の形
MoneyConnection® – 「お金」から考えよう。仕事、将来、社会とつながる自分。
次回、第5回は「在学生のみなさんへのメッセージ」です。卒業生である深谷さんが私たちに伝えたいこととはなんでしょうか。2月25日掲載予定です。お楽しみに!
(家政経済学科3年生 A.T/R.T)
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